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色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の旅 [本]

久々に読むハードカバーがこれだった、1Q84以来の村上春樹体験。

この感想は寂しいものだった。
遂に僕の思春期は終焉を迎えてたいうことをまざまざと感じさせられた。

この村上春樹的な世界の中に浸って深く柔らかく頭を陶酔させられる年頃では、もはや僕はなかった。

寂しいが、それほどにこの小説は僕にステキな時間を与えることは無いままに、幕を閉じた。

決してこの本を他人にススメることは無いと思う。

あああ、残念。

この作品が駄作な訳ではなく、
僕と彼の世界の間にこれまで存在した通用門が閉じられてしまったのだろう。

懐かしき、大学時代の思い出の実体験と読書体験。


なんだか、34才、2児の父にして初めて大人になった事を実感している。
そんな感想です。





色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年

色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年





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朽ちていった命 [本]

先日、飲み会でふとした話からでたのが「東海村臨界事故」だ。
会社の女子が読んだというこの本「朽ちていった命ー被曝治療83日間の記録ー」を借り受けた。

イッキに読んでしまった。

これは、1999年9月30日に、茨城県那珂郡東海村に所在する住友金属鉱山の子会社の核燃料加工施設、JCOが起こした原子力事故(臨界事故)で亡くなった大内さん(当時35)の被曝から亡くなるまでの治療の記録だ。しかしそれは治療と呼べるものなのか、次第に変わり果てていくその姿を目の当たりしていく家族と医療スタッフ。とても希望というものを持ち得ない被曝線量(即死でもおかしくない程の線量を浴びた)を受けても一縷の望みにかけるスタッフ、家族の姿を胸を打つ。

その事故は杜撰な管理下で裏作業マニュアルを実行する中で発生した臨海事故。
作業者たちは全く臨海が起きるなどという危険の伴う作業だと認識はなく、突然「青い光」を見てしまった。3人が猛烈な中性子線を受けその後の2人が亡くなった。突如田舎のビルに現れたむき出しの原子炉は、なんとか20時間後には核分裂を停止することに成功したが、強烈な被曝を被った作業者の大内さんのその後の83日間とは、身体の全面の全ての皮膚がはがれを落ち、爪も剥離、体内の粘膜も亡くなり出血、下痢、吐血、最後に1日に10リットルも水分が体外に流出していたという。その姿はインターネット上にもまだ残る。正視できない身体だ。

中性子線は体内の細胞、その染色体をイッキに破壊する。だからその後は正常な細胞の分裂、再生が行われなくなる。通常人間の身体は細胞の死滅と再生が繰り返されて皮膚も時間をかけて古いものは垢として剥離し、その奥から新しい皮膚に変わっていくのだが、大内さんのように身体の設計図とも言える染色体が破壊されるとその機能を失い、皮膚の再生産は行われなくなる、だから皮膚の中の肉がむき出しの状態となる。同時に血液内の免疫系も破壊され再生産が不可能となり、あらゆる細菌、ウイルスから身を守る事ができなくなる。

医療スタッフもこの、前例のない患者を前になす術が亡くなる。

失礼な言い方だが、完全な負け戦に挑み続ける人々の姿は悲しく、心が痛かった。

しかし家族は最後まで回復を祈り、病室の横で1万羽ちかい千羽鶴を作り続けた。



この事故は知ってはいたが、こんなに苦しい現実だったは、本書を読むまで知らなかった。

一言で原子力は怖いというのは簡単だが、、、まさに人智を超えた力であることは間違いない。

だが、忘れてはいけないのは、この事故も基本的な人間の驕りから来るヒューマンエラーでしかないという事かもしれない。






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特殊清掃 [本]

特殊清掃とは、事件、事故、自殺等の変死現場や独居死、孤立死、孤独死により遺体の発見が遅れ、遺体の腐敗や腐乱によりダメージを受けた室内の原状回復や原状復旧業務を指すわけだが、今回読んだ本「特殊清掃 死体と向き合った男の20年の記録」は特殊清掃「戦う男たち」というブログでその業務の実態や想いをこれまで掲載してきた特掃隊長の貴重なルポだ。

孤独死、自殺、その遺体の腐敗により発生する正視できないような、その痕跡と強烈な臭い。その処理を対応を行う隊長のスタンス、そして死生観。この本を読むと今を普通に生きることの大切さを、自分の中でまた一段と噛み締めることができる。

もし、自分の身近な人(親、兄弟、子ども達)そんな彼らが、本書の中で登場するような亡くなり方をしたら、どうしよう?

隊長の言葉。

「偶然というなの必然に支配された現実という名の夢幻」

「自分の死や愛する人の死、つまり人生と残された時間の有限性を知ることが大切だと思っている。」

「多くの遺族が『ありがとう』と『ごめんなさい』と亡骸に言葉をかける姿を見てきた。」

近しい人が亡くなると必ず感謝と謝罪のその両極が混合する感情が心を埋めるんだね。

生きている内にその気持ちは伝えるべきだと痛感した。



特殊清掃 死体と向き合った男の20年の記録

特殊清掃 死体と向き合った男の20年の記録




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ベイジン [本]

青山仁さんの「ベイジン」面白かった。
こんな予言の書だったとは恥ずかしながら知りませんでした。

ここまで福島原発事故を暗示していたとは、脱帽。
これを、東電の上層部がしっかりと読んで肝に銘じておけば、あの事故は現実のものとはなあなかったのではないかと思うくらいの相似点。

舞台は北京オリンピック開催が間近に迫った中国
その開催式典中での運転開始を目指す世界最大の原子力発電所。
赴任した日本人技術者が異国での不条理に対峙しながらも完成を目指す原発。
そしてその裏で蠢く中国の権力闘争。2008年8月8日に向けて動き出したエネルギーの大車輪を止める事は果たしてできるのか?


面白いけど、このラストは頂けなすぎだよね。
残念。もちょっと粘って欲しかったなぁ。
なんか最後は投げ出された感がハンパない。







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共喰い [本]

2012年芥川賞の受賞記者会見の発言で一躍有名になった田中慎弥さんの「共喰い」がkindleであったので読んでみました。

正直面白かった。

同じく「苦役列車」で芥川賞受賞し個性的なキャラで有名になった西村賢太さんの作より僕は、この「共喰い」の方がオススメできるなぁ。共感できるとかそういう意味ではありませんが…

山口下関市で暮らす17歳の少年が、セックスに暴力的な父親の習性を受け継いだことを自覚して苦悩する姿を、独特な川縁の街を舞台にし湿っぽいのだけど、どこか乾いた人間模様の中に映し出している。

重要なモチーフとして度々登場する鰻が、あざとく技巧的に過ぎるきらいはあったけど。
まぁ絶品の文章力で最後まで引っ張って行ってくれます。



そして2013年には本作は映画化もされています。
監督は僕が最も好きな日本映画「ユリイカ」を作った青山真治さんです。
ぜひ映画も見てみたいです。(エンディング)が小説とは違うとか…


共喰い (集英社文庫)

共喰い (集英社文庫)







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「社会を変える」を仕事にする [本]

子育てと仕事、そして自己実現のすべてに、
だれもが挑戦できるしなやかな社会」を目指し、
病児保育サービスを提供するNPOフローレンス代表の駒崎弘樹さんの著作を読んだ。

以前からテレビ番組等のメディアに多く登場する駒崎さんの発言には興味を持っていた。

本書では、かつてITベンチャーの社長もしていた駒崎さんが「日本の役に立ちたい」という想いを抱き、なぜに病児保育問題に目を向け、いかにしてその問題解決の実現を目指すNPOを立ち上げたのか、その心の軌跡、今に至るまでがとっても読みやすく語られている。

実際二人の保育園児をもつ僕としては、この病児保育問題はまさに今そこに在る困難のひとつだ。(実際に奮闘しているのは妻だが)保育園は基本的に(もしくは絶対的に)病気の子どもを預かってはくれない。熱を出すとすぐに妻に電話連絡がいって、仕事を早退しお迎えにいく必要が生じる。
いまでこそ、4才と2才の子ども達はそれほど熱を出すことも少なくなったが、保育園に入れた当初の4月、5月(一昨年)などは、子ども達の体調不良が理由で妻は月の半分も仕事に行けていなかった。一人が熱を出し、回復したと思うと、もう一方が下痢嘔吐で寝込んでしまうといった具合に病気の連鎖で満足に働くことが出来ない毎日が繰り返されていた。我が家は共働きの4人家族で、頼れる身寄りは400km圏内には誰もおらず、基本的に夫婦二人だけで全て対応しなくてはならず、その妻の負担といったら並大抵のもではなかった。そんな僕ら夫婦にとっては、駒崎さんが始めたこの病児保育サービスはとても助かるサービスに違いない。(現在は我が埼玉県戸田市はサービス提供圏外だから、利用できないのだが)。詳しくはフローレンスのホームページを見るとそのサービス内容が詳しく分かる。
基本的には月会費制の共済型システムで、朝8:00までに予約をすれば、病児を預かってもらえるのだ。前述の通り通常、保育園は病児を預かってはくれない、ちょっと熱を出しただけでも保護者が至急お迎えに行く必要がある。


現在ではこのフローレンス型の病児保育サービスを行政もまねて、病児保育問題への取り組みは全国へと広がりを見せているらしいが、現状まだその恩恵を我が家が享受するには至っていない。

駒崎さんが始めたこの病児保育サービスが急速に広がってくれれば、多少なりとも社会を変え少子化問題の解決への一助ともなりえるのではないでしょうか。

小さな民間の力が社会を変えて行くという事を体現されている駒崎さん。
応援したいものです。


※本書はkindle版も出るといいのにね。



「社会を変える」を仕事にする: 社会起業家という生き方 (ちくま文庫)

「社会を変える」を仕事にする: 社会起業家という生き方 (ちくま文庫)

  • 作者: 駒崎 弘樹
  • 出版社/メーカー: 筑摩書房
  • 発売日: 2011/11/09
  • メディア: 文庫





写真素材のピクスタ
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ゼロ [本]

堀江貴文氏(ホリエモン)のゼロを読了。面白く読みやすいのであっという間に読み終えましてしまった。

すごく丁寧に真摯にそしてある意味赤裸々に自身の事を語っていて、自伝書としての金字塔とも言える本だと思った。

これまで語られなかった生い立ち、親との関係、結婚子ども、そしてその別れの離婚。その間にめまぐるしく推し進めたネットビジネス。その結果もたらされた悲劇的な逮捕、起訴、裁判、収監。

しかし常に貫かれるゼロにイチを足すことで成長する生き方は読んでいて圧巻だ。

こんな生き方は真似できない。
けど、本書を読むと少しだけならその姿勢を真似できるように思えてくる。読むものを勇気づけるそれだけの圧倒的な正のパワーに満ち溢れたのが、この「ゼロ」だと思う。


[与えられた仕事をやらされているとき、あなたは「他人の時間」を生きている。自ら生み出す仕事に臨んでいるとき、あなたは「自分の時間」を生きている。]

全くその通りだと思う。

本書にはこの用に全くその通りだと思う事が堀江貴文氏自身の言葉で語られている。


しかし氏の結婚から離婚の過程を垣間見ると、人の子はやっぱり親の影響、家庭環境の及ぼす影響って極大なのだと思う。

我が子も我が家で育つ以上、僕の影響を多分に受けて成長するのだなぁと物思いに耽ってしまった。


この本を素直に受け止められない人って……



P.S.ヤフーニュースでホリエモンが脳科学者の茂木さんらと音楽ユニットを結成しレコーディングを行ったとか…相変わらずスゴイバイタリティだこと。







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永遠の0 [本]

空前のベストセラー「永遠の0」読了。

ほんとうに、こんなに、通勤電車の中で涙をこらえて読み進めた小説は久しぶりだった。

読み進める度に、悔しさがこみ上げる。
続いて悲しさで心は支配される。
やがて満たされた悲しさは遠のき、深い感動で心が動く。
戦争はイヤだ。

物語は、かつて特攻で戦死した実の祖父の足跡をたどる姉弟が、当時の祖父を知る人々に取材する形で進行し各々が語る祖父宮部の生き様を通して戦争の時代を生きた日本人の真実に迫っていく。現代と戦時が交互に進行する中で浮き彫りになる宮部という男、そしてその妻への愛を紡ぐ物語が読む者の胸を喜怒哀楽で鷲掴みする。なぜ宮部は特攻を行ったのか???



昨今、時の首相も改憲に邁進している。
そしえそのアンチに対する辛辣な意見も散見する。

けど、
インドネシア大統領が日本、中国、米国などが互いに戦争放棄の法的義務を負う「インド・太平洋友好協力条約」の締結を呼び掛けたといったニュースも届く。
実はこいうアクションを日本が発起して欲しかったりすんだけどな。

とにかく、僕を含めた戦争を知らない全ての日本人にこの小説を読んで欲しい。

本書は電子書籍ないですよ〜。


永遠の0 (講談社文庫)

永遠の0 (講談社文庫)



人気のアロマディフューザーはコレ!

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ルポ虐待 大阪二児置き去り死事件 [本]

久しぶりにkindle以外で買った本のひとつ。

幼い子ども二人をマンションに置き去りにし自らはホスト遊びにあけくれた末、その小さな二つの命に餓死という最期を与えた母。あまりにも酷で直視出来ないような事件で、当時センセーショナルに報道された「大阪二児置き去り死事件」。本書はその母と近親者への取材から、現代の虐待問題の複雑な位相を理解する一助となりえる著者渾身のルポだ。

事件当時の報道はよく覚えている。

子ども達は、自らの汚物にまみれ、またその汚物をも体内に取り込む程の飢餓に苦しみ、そして死んで行った。その絶望的な時間と同じくして男達と戯れていたであろう母の姿。

子ども達の元気な姿が映し出される写真

そして会わせて映し出される母の姿は目映いドレスに身を包まれている。

このコントラスト

こんな事件がどうして起こるのか?
どして未然に食い止められなかったのか?

この母は鬼だ!
けど、そんな風にだけ思えたら楽だ。
実際には、鬼でもモンスターでもなくどこにもでもいる女の人の中のひとりで、、

と、、、
本書を読むとその結果の絶望へと向かう道筋が見えてくる。
誰にも助けを求めない母。
母の育った家庭環境の特異さ。

彼女は「母である」ことを放棄しなかった、故に事件は起こった。
叶わぬ理想、なりたい自分と乖離、距離が離れていく現実の時間。

助かるチャンスは確かにいくらでもあったように思う。
普通はそのチャンスの中で手は差し伸べられたはずだ、
しかし彼女の場合はその手を自ら払いのけ、取り返しのつかない結末を生んでしまった。

ただ、本書は狭義には「虐待」についての本ではないように思う。
一人の女性の精神的崩壊の歴史書のようだ。
積極的に虐待について分析、解説もしていない。

二人の幼い命の結末はくやしい。




ルポ 虐待: 大阪二児置き去り死事件 (ちくま新書)

ルポ 虐待: 大阪二児置き去り死事件 (ちくま新書)







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消された一家 [本]

当時ワイドショーか何かでとりあげられていて衝撃的だった記憶が残っているが、なぜかそのあと報道が進まなかった印象も同時に記憶している本事件のルポが「消された一家―北九州・連続監禁殺人事件」

北九州監禁殺人事件。後に分かったけのだけど、本事件はあまりにも残虐である事実とその事件の加害者と被害者が家族であることなどから遺族等からコメントを板頂くこともできず、故にニュースとしてとりあげようにも取り上げることが出来なかったという特異な事件だったのだ。

人の弱みにつけこんで監禁、金を巻き上げ、拷問と虐待によってマインドコントロール下に置き、お互いの相互不信を起こし、被害者同士で虐待をさせることで相互不信を一層深くさせ、自分の手は汚さずに用済みとなった人間を殺害して死体処理を行わせたという。そして失われた命は7。

実の母を殺す、実の父の死体を解体する。

本書はそのおぞましく想像を遥かに超える事件の経緯を細部まで取材することで、松永という理解不能な人間の姿の真にどうにか迫ろうとするも、その望みは叶わない。

読み進める中、その当事者の状況に思考をめぐらせ想像して、吐き気を催す。
あわりにも怖い。

その事件から、まもなく日本ではあの「尼崎事件」が発生してる。
その共通点は少なくないと思う。
日本人の特徴がこれらの事件を通じて語られることもあるんだろうな。

人が人を恐怖で完全に奴隷することが出来る事実。

こわい。





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